ガンプラに使われている樹脂成形技術は、これはすごいと感じたモノづくり技術の1つです。
バンダイが自社開発した4色成形機を使うと、1枚のランナーに最大4色のプラモデルのパーツを成形することができます。複数の色からなるランナーは、イロプラと呼ばれています。
さらに、この4色成形機のすごいところは、アドバンストMSジョイントと呼ばれるパーツで、1枚のランナーから切り出した手(ハンドパーツ)の指が曲がったり、腕や脚の関節が可動するのです。(多重インサート成形といわれる樹脂成形技術です。)
ここでは、PG(パーフェクトグレード)ユニコーンガンダムを例に、バンダイの4色成形技術について説明します。
なお、ここで紹介する内容については、技術的な裏付けがある訳ではなく、あくまでも私が調べられた範囲での個人的な考えなのでご注意ください。
ガンプラを作る樹脂成形機について
ガンプラを作り出す、バンダイの4色成形機は、4色のパーツを1枚のランナーに成形することができます。イロプラといいます。
この4色成形機は色だけでなく、種類の違う材料で成形することもできます。実はこれがすごいのです。アドバンストMSジョイントのことです。
私が購入したガンプラを例に、4色成形のイロプラと異なる材料により作られたアドバンストMSジョイントについて紹介します。
きっちり色分けされた4色のイロプラ
4色のイロプラについて、PGユニコーンガンダムの例で説明します。
バンダイの4色成形機は、1枚のランナーに最大4色のパーツを同時に成形することができます。
下図は、PGユニコーンガンダムのイロプラの例です。
- 下図の色の名前は、Aはクリアグリーン、Bはクリアピンク、Cはクリア(透明)、その他の部品はグレーです。
- 例えば、下図A左下のクリアグリーンのランナーと黒のランナーとの接続部分がきれいに分かれています。成形技術が優れていることが分かる1つの例です。
図1 イロプラの例:PGユニコーンガンダムのWAランナー
上図のパーツがPGユニコーンガンダムの以下のパーツとなっています。
- Aの部分:モノアイ(ユニコーンガンダムの頭部)
- Bの部分:シールド
- Cの部分:武器(ビーム・マグナムなど)
- 残りの部分:シールド
また、上図のAの左下のクリアグリーンのランナーとグレーのランナーとの接続部分をみると、色が混じることなくきれいに分かれています。
これを、量産しているのですから、バンダイの4色成形機を実現している技術力は素晴らしいと思います。
イロプラ製造のシミュレーションをするなら樹脂流動解析となるのでしょうが、解析結果を現物に近づけるだけでも大変そうです。
驚異の可動アドバンストMSジョイント
異なる材料により作られたアドバンストMSジョイントについて、PGユニコーンガンダムの例で説明します。
下図は、ガンプラの手の写真です。
- 大きい手は、PGユニコーンガンダムです。
- 大きい手の上にのっている小さい手は、RGガンダムMK-IIです。
図2 PGユニコーンガンダムとRGガンダムMk-IIの手
上図の手のひらと指の部分を見て頂くと、指の関節が曲がりそうなことが分かるかと思います。
ちなみに、小さい方(RG)の指は、私の器用さでは壊してしまいそうなので、あまり動かすことはしていません。うっかり力を入れすぎると関節部分(ボールジョイントとなっている)が外れてしまい、ポロポロと外れやすくなってしまうからです。
アドバンストMSジョイントのランナーをよく見ると
アドバンストMSジョイントをPGユニコーンガンダムの手のランナーを例に紹介します。
見ればみるほど驚きの多色成形技術です。
アドバンストMSジョイントのランナーにも驚きが
ガンプラを作り出す多色成形機のすごさは、指が曲がるだけではありません。
アドバンストMSジョイントのランナーにも驚かされます。
この手のパーツのRランナーは、下図の様に1枚のランナーとして成形されています。
図3 PGユニコーンガンダムの手のRランナー
上図のRランナーの左側の赤い部分をニッパーで切り離します。
切り離したパーツは、手のひらと指のパーツ(右手のパーツ)です。
下図の様に、Rランナーから切り離した右手のパーツ(下図のR4)の指の向きを変えていくと、手が完成します。
図4 PGユニコーンガンダムの手の組立図
Rランナーから切り出した手は、指の関節がボールジョイントのように動くため、指が曲がるのです。これは、指の関節部分を含めたパーツが、Rランナーとして成形されているからです。
下図は、PGユニコーンの指を曲げた写真です。
図5 指を曲げたPGユニコーンガンダムの手
もっと曲げられますが、私の器用さでは指の関節部分が外れそうなので、上図では、この程度の曲がり具合となっています。
私でも、PGシリーズの手は大きいのでまだ何とかなるのですが、上述の写真「PGユニコーンとRGのガンダムMk-IIの手」で紹介したRGシリーズの手の指は、小さ過ぎてうまく曲げられません。
手のRランナーを分解
手のパーツは、2種類の材料(ABSとPP)でできた2枚のランナーを組み合わせて、1枚のRランナーとして成形されています。
下図は、パーツを切り離した後のランナーです。
- 下図左側の2枚のランナーが、右端の1枚のランナーとして成形されています。
- 切り離す前は、図3「PGユニコーンの手のランナー」の様に手のパーツが成形されています。
図6 PGユニコーンガンダムのRランナー:部品を切り離した後
Rランナーをよく見て見ると、2枚のランナーが重なってできていることが分かります。
- 上図左側の2枚のランナーが、上図右側のように上下に重なっています。
ランナーは、型に樹脂を注入して成形されて作られます。
成形では、注入する際の温度、樹脂の注入速度、圧力などを調整します。
型に樹脂を注入していくと、注入される樹脂の速度も温度も変わります。Rランナーを量産するためには、数多くの条件をどのように決めていったのかとても興味深いです。
ガンプラの指の関節を一体どうやって成形しているのか、2枚のランナーを組み合わせて1枚のRランナーに仕上げているのか、想像してみるのもおもしろそうです。
まとめ
バンダイが自社開発した4色成形機を使ってガンプラを作ると、1枚のランナーに最大4色のパーツを成形することができます。複数の色からなるランナーは、イロプラと呼ばれています。
さらに、この4色成形機のすごいところは、アドバンストMSジョイントと呼ばれるパーツで、1枚のランナーから切り出した手(ハンドパーツ)の指が曲がったり、腕や脚の関節が可動するのです。(多重インサート成形といわれる樹脂成形技術です。)
ここでは、PG(パーフェクトグレード)ユニコーンガンダムを例に、バンダイの4色成形技術について、以下の項目で説明しました。
- ガンプラを作る樹脂成形機について
- きっちり色分けされた4色のイロプラ
- 驚異の可動アドバンストMSジョイント
- アドバンストMSジョイントのランナーをよく見ると
- アドバンストMSジョイントのランナーにも驚きが
- 手のRランナーを分解